収入の8割を株式投資 「本気でFIREをめざす人のための資産形成入門」(穂高唯希著)

「明日は給料日。収入の8割をせっせと株式買付に回す単純な作業。そうして配当収入の綺麗な右肩上がりのグラフが描かれていく。いかに若年期に投資資本を蓄積できるか、もうそれに尽きるんやで」

三菱サラリーマンこと穂高唯希さんがTwitterで発言された、この言葉に「著者の信条、哲学」が凝縮されています。

今回は、30歳という若さでFIREを達成した「本気でFIREをめざす人のための資産形成入門」(穂高唯希 著)を一般のサラリーマンで再現可能なのか?そして、その投資法は有用なのか?についての記事です。

会社=豚舎 社畜生活からの脱出

働き方改革、テレワークが推進され、改善の兆しがみられてきている労働環境ですが、ブラック企業、ワンオペなどの過酷な労働を強いられている労働者はまだまだ存在します。そのような労働者を社畜(社員+家畜)といいますが、著者は会社のことを豚舎と呼び、入社当日に豚舎からの脱出を決意しました。

感じ方は人それぞれですし、置かれている環境も人それぞれですが、現時点で不満がある人は改善に向けて行動すべきです。わたしは今すぐ豚舎から脱出しようとは考えていませんが、豚舎のカギは壊しておいて、自分の意志で別の豚舎や自分の城を築く選択ができるように行動します

豚舎からの脱出とは、飼い主からエサをもらわなくても生きていける存在です。これは、FIREを達成した状態のことです。

FIRE

FIREとはFinancial Independence, Retire Earlyの略で経済的自由を達成していることをいう。株式や債券から得られる配当・利子所得などの不労所得が、生活費を継続的に上回る状況のこと。

生活費を上回る配当金があれば、会社に依存することなく就業選択の自由が生まれます。継続、転職、退職を選ぶ権利がある。これは精神的にも肉体的にも拘束されておらず、豊かな生活を送っているといえます。まさに豚舎からの脱出です。

子供のころのキラキラした目で夢を語る、そんなワクワクした気持ちを取り戻してみたくはないですか?

失敗を経て得た投資哲学

サラリーマンで30歳という若さでFIREを達成した著者ですが、順風満帆の人生ではありませんでした。

幼少期の父の死、女手1人で育ててくれた母の助けになればという思いで始めた投資の失敗。しかし、彼は諦めず自分に合った投資手法を見つけるに至ります

株式を継続的に購入することで、得られる配当金を継続的に積み上げていく

株式売却による評価差益(キャピタルゲイン)を狙うのではなく、株式保有による配当金(インカムゲイン)を狙うのです。その理由は、失敗を通じて、次の2点を痛感したためです。

  • 市場はいくら研究しても値動きは読めない
  • 精神面も消耗するような投資行動は永続的ではない

株式の売却差益を狙うには、市場や企業分析が必須です。しかし、今回のコロナショックなど企業価値には関係なく、暴落や高騰が起こることは往々にしてあります。ファンドや大株主が売り買いによって、大きく上がったり下がったり、AIによる投資も活発になってきており、値動きを読むことはますます難しくなってきています

未来の株価や業績を見通すことは不可能であると積極的に諦めることも必要です。

また、投資は損益面の損傷リスクの他に精神面の消耗リスクも大きな負担となります。値動きが気になって仕事が手につかない。外国株式では夜間取引が気になって夜も眠れない。こんなことではいつまでも投資は続けられませんし、投資を嫌いになったり、脱落していくことにもなりかねません。

数%の利益をコツコツと積み上げていく長期投資で重要なのは、市場に居続けること(退場しないこと)です。株価の下落とは違い配当は〇〇ショックなどの暴落時でも安定することが多いです。配当があることで下落局面でも一種の精神安定剤になります。それほど、下落局面のおける精神面への配慮は重要です。

誰にでもできる支出の最適化

冒頭にあったように、著者は収入の8割を株式買付に回すという脅威の入金力を誇っていました。

この入金力は収入によって大きく左右されますので、同じことをするのは難しいですが、資産形成の基礎は支出の最適化です。

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支出の最適化は、同額の利潤を得るよりもはるかに簡単です。

収入を増やすと課税所得も増えますが、支出の削減には税金が生じません。また、支出の削減により必要な生活費が少なくなり、FIREへのハードルが下がることも大きなメリットです。

本書では著者が実践している支出最適化15選が解説されていますが、この中でわたしも実践している支出最適化をご紹介します。

  1. ペットボトル飲料は買わず、水筒持参
  2. 携帯は格安SIM
  3. 支払いは現金ではなくクレカで
  4. 保険には入らない

この4つの支出の最適化は、実践しても日々の満足度は変わりません。この満足度が変わらずに支出を削減するというのがポイントです。

コンビニや自動販売機で高いペットボトルを買わなくても、水筒に同じものが入っていれば満足度は変わりませんよね?

ほとんど回線速度が変わらずに5,000円程度安くなる、格安SIMにしても満足度は変わりませんよね?

ポイントが貯まり現金を持ち運ぶ、クレカ決済にしても満足度は変わりませんよね?

いざというときに必要な貯蓄があれば、不安がなくなり、不要な保険に入っていなくても満足度は変わりませんよね?

  • 階段は資源

番外編となりますが、著者は階段を資源として通勤時、終業時の移動の際は、10階の職場へは必ず階段を使っていました。運動、筋トレ、加えて脳を活性化することで肉体的にも精神的にも良い影響を与える有難い資源であると考えたためです。この考えには先駆者がいて、社長や役員にも頻繁に遭遇したそうです。わたしも本社勤務だったときは会長が階段で散歩しているのをよく見かけましたので。意外に階段を資源として愛している人は多いのかもしれません。

自分だけのお金自動発生マシン(マネーマシン)の構築

著者の投資スタンスは高配当・連続増配株への投資です。

配当を生む高配当株ポートフォリオをお金自動発生マシン(マネーマシン)と呼び、保有株数を増やしマネーマシン強化していくことでFIREを達成するという投資スタンスです。

投資銘柄については、米国株式米国ETFを中心にポートフォリオを構築しています。外国株式には、配当金に対して余分に税金がかかります。このことは一見、国内株式よりも不利に見えますが、米国株式をメインとする理由は、この税金を吹き飛ばすほどのリターンが見込めるためです。

次の表は2019年11月末時点の米国と日本の連続増配している企業についてです。

  • 米国:連続増配25年以上、50年未満 109企業、連続増配50年以上 29企業   
  • 日本:連続増配25年以上 1企業(花王)

日本は25年以上増配し続けている企業は花王1社のみです。

米国の企業の強さ、株主への還元は素晴らしいです。これまでは米国一強と呼ばれる時代がずっと続いており、事実、Amazon、Google、Facebook、Microsoft、コカ・コーラ、P&G、ジョンソン・エンド・ジョンソンなどなどの世界に名高いトップ企業のほとんどは米国企業です。

世界中に分散投資する全世界ファンドに投資したとしても、約半分は米国への投資となります。今後も米国一強が続くとは限りませんが、引き続き米国は大きな存在となることは間違いないでしょう。

本書の投資方法でFIREの達成は可能なのか?

本書はサラリーマンが、しかも30歳という若さでFIREしたということで大きな話題になりました。

中には、「そんな支出を下げるなんてできない」「高収入だからできたんだ」という批判的な声もあります。

確かにここまでの支出の削減は全ての人にできるわけではないかもしれませんし、著者は三菱系の大手企業に勤めていたこともあり高収入でもありました。30歳でのFIREは恵まれた環境も助けにはなったはずです。

しかし、できない理由ばかり言って、行動を起こさないこと(貧乏マインド)になんの意味があるのでしょうか?

  • できない理由ではなく、どうしたらできるのかを考え続けること

でもでも思考はやめにしませんか?

行動して、失敗して、軌道修正して…。行動し続ければ必ず結果は出るはずです。人間はいくつになっても成長できます。

達成までの時間は多少かかったとしても、行動し続けること、そして、市場に居続けること(退場しないこと)でFIREの達成は可能だと思います。

資産形成で「自由に生きていく」ための切符を手に入れましょう。

まとめ:FIREを目指すのであれば行動し続けるしかない

現状のサラリーマン生活に満足していない人は、豚舎(会社)から脱出するしかないです。

そのためには豚舎からのエサ(給料)をもらわなくて生きていける不労所得(株式配当)が生活費を上回る必要があります。

  1. 支出の最適化
  2. 高配当株・連続増配株投資
  3. 貧乏マインドからの脱出

行動し続けること、市場に居続けること(退場しないこと)で、今日より明日、明日より明後日がよくなる、そんな豊かな生活を目指して頑張りましょう。

 

ではでは

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